2026年第1四半期PC出荷台数は6560万台、メモリ不足や世界情勢の混乱が影を落とす
調査会社IDCが発表したレポートによると、2026年第1四半期(1月~3月)の全世界のPC出荷台数は、前年同期比で2.5%増の6560万台を記録しました。このデータは、AI需要増加に伴う世界的なメモリ不足や、中東情勢の不安定化といった複数の逆風要因がある中で、PC市場が依然として好調を維持していることを示しています。
IDCの調査サービス「Worldwide Quarterly Personal Computing Device Tracker」の速報値に基づくと、全世界のPC出荷台数は前年同期の6400万台から増加しました。しかし、IDCは、メモリ不足や世界情勢の悪化が市場に影響を与え始めており、あらゆる地域で成長傾向が急激に低下していると指摘しています。特に、システム価格の上昇が続くため、今後のPC出荷台数はさらに減少するとの予測も示されました。
詳細な市場シェアを見ると、ASUSが前年同期比17.1%増と最も高い成長率を記録し、480万台の出荷台数を達成しました。一方、HPは前年同期比で-4.9%とマイナス成長となり、その他セグメントも-6.2%と減少しました。Appleは9.1%増で620万台、Lenovoは8.6%増で1650万台と、主要メーカーは概ね成長を維持しています。
また、IDCのシニアリサーチアナリストであるアイザック・ンガティア氏は、中東での紛争が新たな変動要因となり、エネルギーコストや貨物運賃の高騰が世界の物流に大きな負担をかけていると警鐘を鳴らしています。特にアジアとEMEAを結ぶ海上輸送ルートの混乱や、高額化する航空貨物への切り替えが、バリューチェーン全体を通じてエンドユーザーへのPC価格上昇圧力となる可能性を指摘しています。
背景
PC市場はAI需要の急増を背景に高い成長が期待されていましたが、同時に世界的なメモリ不足や地政学的なリスクが懸念されていました。本レポートは、これらの複雑な要因が混在する中で、実際に市場がどのような動きを見せているかを定量的に分析したものです。
重要用語解説
- メモリ不足: AIや高性能デバイスの需要増に伴い、半導体や記憶媒体(メモリ)の供給が追いつかず、品薄状態となる現象。PCやゲーム機などの製造コストと供給に影響を及ぼす。
- Worldwide Quarterly Personal Computing Device Tracker: IDCが提供する、デスクトップPC、ノートPC、ワークステーションなど、パーソナルコンピューティングデバイスの四半期ごとの出荷台数を追跡・分析する調査サービス。
- バリューチェーン: 製品が原材料から最終消費者の手に渡るまでの、一連の供給プロセス全体。物流コストや価格上昇がこのチェーン全体に波及する。
- 影響: 短期的な出荷台数の成長は確認されたものの、メモリ不足や物流コストの高騰が構造的な課題として浮き彫りになりました。今後は、部品コストの上昇が価格転嫁を促し、消費者の購買意欲を抑制する可能性が高く、市場の成長鈍化が予想されます。企業はサプライチェーンの多様化とコスト管理が急務です。