米国が反対する中、英国がチャゴス諸島返還計画を一時凍結
英国政府は、インド洋に位置するチャゴス諸島をモーリシャスに返還する計画を盛り込んだ法案の審議を一時的に保留しました。この決定は、米国ドナルド・トランプ大統領からの支持が得られていないことが主な理由です。英国政府の報道官は、「米国からの支持がない限り、この取引を進めることはないと常に述べてきた」と述べました。この法案は、60以上の島々が位置するチャゴス諸島の主権を返還する計画を定めており、当初は5月13日からの議会日程に組み込まれる予定でした。前年5月、英国とモーリシャスは、チャゴス諸島の完全な主権をモーリシャスに返還する合意を発表しました。この合意に基づき、英国は軍事基地が置かれている最大の島、ディエゴ・ガルシアを99年間リースする対価を支払い、米国の作戦継続を確保するとしていました。しかし、トランプ氏は今年1月、これを「極めて愚かな行為」だと強く反対しました。英国政府は、ディエゴ・ガルシアが英米双方にとって重要な戦略的軍事資産であるため、その長期的な作戦安全性の確保が最優先事項であり、これが合意の根拠であると強調しています。一方、モーリシャス側は、外交大臣のダナヤジ・ラムフル氏が現地で、「このインド洋地域における脱植民地化プロセスを完了させるため、あらゆる外交的・法的手段を尽くす」と述べ、権利放棄の意思がないことを改めて表明しました。英国は1814年以来チャゴス諸島を管理しており、この基地はベトナム、イラク、アフガニスタンでの米軍作戦に重要な役割を果たしてきました。チャゴス島民は、基地建設のために強制移住させられた人々からの補償請求を英国裁判所に提起しており、2019年には国際司法裁判所(ICJ)が諸島をモーリシャスに返還すべきとの勧告を出しています。トランプ氏の度重なる反対姿勢を受け、英国政府は協議を再考せざるを得ない状況に陥っています。
背景
チャゴス諸島は、英国が1814年以来管理してきたインド洋の島々であり、戦略的に重要なディエゴ・ガルシア島に米軍基地が置かれています。モーリシャスは、この島々の主権返還を長年求めており、国際司法裁判所(ICJ)も返還を勧告した経緯があります。英国は、米国の軍事利用を維持するため、返還計画を立ててきましたが、米国の政治的動向が大きな障害となっています。
重要用語解説
- チャゴス諸島: インド洋に位置する群島。英国が管理し、戦略的に重要なディエゴ・ガルシア島を含む。モーリシャスが主権返還を求めている。
- ディエゴ・ガルシア: チャゴス諸島にある最大の島で、アジアとアフリカの中間に位置する戦略的要衝。米英の軍事基地が設置されている。
- 国際司法裁判所(ICJ): 国際連合の主要な司法機関。チャゴス諸島をモーリシャスに返還すべきとの勧告を出した。
- 影響: 英国が米国の支持を得られない限り、チャゴス諸島の主権返還プロセスは停滞する可能性が高いです。これは、インド洋における米英の軍事戦略上の拠点維持に大きな影響を与え、国際的な地政学的な緊張を高める要因となります。今後の米国の政治的動向が鍵を握ります。