「だし」の活用が進化:飲むだしからスイーツまで、新たな食文化として定着
近年、日本の食文化において「だし」の重要性が再認識され、その活用範囲が飛躍的に拡大している。だしは、素材本来の旨味を引き立てる役割を果たすため、顆粒やパックタイプとして古くから利用されてきたが、近年では飲料やスイーツといった幅広いジャンルにまで応用されているのが特徴である。具体的な事例として、星野リゾートが展開する「OMO7大阪」では、2023年から2025年までの3年間にわたり、大阪のだし文化を体験できる「アフタヌーンだし」を提供している。ここでは、「だしジンソーダ」や「だしレモネード」といったドリンクに加え、だしソムリエによるハンドドリップの「飲むだし」も提供されている。また、老舗の久原本家グループのブランド「茅乃舎(かやのや)」も、2018年よりだし汁をそのまま味わえる「だしスープ」を販売し、2025年夏にはテイクアウト限定の「冷たいだしスープ」を店頭販売した。さらに、2026年3月には、同社の野菜だしを活用した「茅乃舎 里山クッキー」も登場した。さらに、京都市の錦佐竹生花店が2025年8月にオープンしたカフェ「A DROP OF ZEN ヒトテキノ膳」では、だしを使った「だしペチーノ」を看板メニューとして展開しており、見た目とは異なる「和食そのもの」の味わいが注目を集めている。これらの事例から、だしが単なる調味料ではなく、観光体験や新たな商品開発の核となる「文化」として再定義され、消費者に受け入れられている背景が読み取れる。
背景
だしは日本の食文化の根幹をなす旨味成分であり、かつては料理の隠し味として使われることが一般的でした。しかし、近年、健康志向や「和」の体験価値を求める消費者の増加に伴い、だしそのものが商品化され、ライフスタイルの一部として注目されるようになりました。
重要用語解説
- 旨味: 単なる味覚(甘味、酸味、塩味、苦味)に加えて、素材が持つ深いコクや風味を指す。だしは、この旨味成分を効率的に引き出すための重要な役割を果たす。
- 茅乃舎(かやのや): 久原本家グループが展開するだしや調味料のブランド。高品質なだしを様々な形で提供し、だし文化の普及に貢献している。
- だしペチーノ: だしを素材としたペストリー(ペチーノ)のこと。和の風味を洋菓子の形に落とし込み、新しい食体験を提供する商品。
- 影響: だしが単なる調味料から「体験型商品」へと進化することで、観光産業や土産物市場に新たな収益源を生み出している。今後は、より多様な健康志向の食品や、地域特産品との組み合わせによる商品開発が加速すると予想される。食のグローバル化に伴い、日本の「だし文化」自体が新たな観光資源となる可能性を秘めている。