「後継者難」による倒産が過去最多を更新:2025年度は461件、経営課題の深刻化
東京商工リサーチが発表した調査によると、2025年度(2025年4月〜2026年3月)における「後継者難」による倒産(負債1000万円以上)は、合計461件に上り、前年度比1.3%増となりました。これは、調査開始以来の最多記録を更新する結果です。この現象は、円安に伴う物価高や人手不足、人件費の上昇といった経済的要因に加え、後継者不在という構造的な経営課題が深刻化していることを示しています。
要因の内訳を見ると、代表者の「死亡」による倒産は219件(前年度比12.7%減)で7年ぶりに減少しましたが、依然として構成比の47.5%と半数近くを占めています。一方、「体調不良」が172件(同15.4%増)と増加し、これら二つの要因の合計が391件(同2.2%減)で、全体の84.8%を占めています。資本金別では「1000万円未満」が293件(前年度比7.7%増)と最も多く、全体の63.5%を占めました。形態別では「破産」が437件(同1.8%増)と、構成比の94.7%を占めるなど、倒産の実態が明らかになっています。産業別では「サービス業他」が119件(同29.3%増)で最多となり、次いで「建設業」が96件(同9.4%減)、「製造業」が74件(同3.8%減)と続きました。東京商工リサーチは、経営者の高齢化が進む中で、M&Aや事業承継による第三者への事業譲渡を避ける経営者が多いため、経営者に寄り添った支援や廃業支援の重要性が高まっていると指摘しています。
背景
日本の企業経営において、後継者不在は長年の構造的な問題です。特に中小企業では、経営者の高齢化と労働人口の減少が重なり、事業の継続自体が困難になるケースが増加しています。本調査は、この課題を定量的に捉え、具体的な倒産件数と要因を分析したものです。
重要用語解説
- 後継者難: 後継者となる人材がいない、または適切な人材を見つけられない状況を指します。中小企業の事業承継における最大の課題の一つです。
- 負債1000万円以上: 倒産案件を抽出する際の基準となる負債額です。この基準により、一定規模以上の経営危機にある企業を分析対象としています。
- 東京商工リサーチ: 企業の信用情報や経営状況に関する調査を行う専門機関です。本記事のデータ提供元であり、信頼性の高い市場分析を提供しています。
今後の影響
後継者難による倒産件数の増加は、地域経済の活力低下や産業構造の歪みを招く可能性があります。今後は、政府や金融機関によるM&A支援や、廃業を円滑に進めるための社会的なセーフティネット構築が急務となります。経営者への寄り添い型支援の強化が求められます。