JASRACが「歌ってみた動画」の権利処理について注意喚起:X投稿には個別申請が原則必要
音楽著作権管理団体JASRACは、公式Xを通じて「歌ってみた動画」や「弾いてみた動画」の投稿に関する権利処理について注意喚起を行いました。これまでSNS上で広く行われてきたこれらのコンテンツの取り扱いに関する認識の差が浮き彫りとなり、ユーザー間で波紋が広がっています。JASRACは、YouTube、Instagram、TikTokなど、自身と契約を締結しているUGCサービスやSNSについては、個別申請が不要なケースがあるものの、X(旧Twitter)については「JASRACとの間で契約が締結されておりません」と明言し、投稿時には原則として個別の利用許諾が必要であると強調しました。この発表を受け、これまでXでの投稿に慣れていたユーザーからは、自身の投稿が権利上問題となる可能性に気づき、「Xの歌ってみた全部消した」といった対応や、「Xは大丈夫だと思い込んでいた」といった驚きの声が上がっています。また、レコード会社関係者によると、自身が作詞作曲した楽曲であっても、JASRACに管理を委託している場合は、利用形態によって著作権料が発生するケースがあるとのことです。個人アカウントで収益を伴わない場合、使用料は1曲あたり月額150円から変動し、収益を得ているアカウントでは収益規模に応じて使用料が変動し、影響力の大きい発信者ほど負担が増える仕組みとなっています。この注意喚起は、著作権意識のギャップを顕在化させる一方で、今後の「歌ってみた」投稿のあり方や、著作権保護と表現活動のバランスを巡る議論を深めるものと見られています。
背景
近年、SNSの普及に伴い、ユーザーが自身の歌唱や演奏を動画として投稿する「歌ってみた」「弾いてみた」といったコンテンツが爆発的に増加しました。これに伴い、著作権管理団体JASRACが、プラットフォームごとの権利処理のルールを明確化する必要が生じました。特に、プラットフォーム間の契約状況の違いが問題となっています。
重要用語解説
- JASRAC: 日本音楽著作権協会(Japanese Society for Authors and Composers)。音楽の著作権管理を担う団体であり、著作権料の徴収と分配を行っています。
- UGCサービス: User Generated Contentの略で、ユーザー自身が作成・投稿したコンテンツ(動画、写真、文章など)を指します。YouTubeやTikTokなどがこれに該当します。
- 利用許諾: 著作物を利用する際に、著作権者や管理団体から正式に許可を得る手続きのこと。権利侵害を防ぐために必須となります。
今後の影響
今回の注意喚起により、ユーザーはプラットフォームごとの著作権ルールを再認識する必要が生じました。今後は、収益化や影響力に応じて使用料負担が増える仕組みが定着し、「歌ってみた」コンテンツの制作・投稿プロセスがより複雑化し、著作権意識の向上が求められるでしょう。表現活動と権利保護のバランスが今後の焦点となります。