仮想通貨大富豪サン氏、トランプ家関連の仮想通貨企業を提訴:トークン凍結と権利侵害を主張
仮想通貨起業家のジャスティン・サン氏が、ドナルド・トランプ前大統領とその息子たちが共同設立したデジタル通貨ベンチャー「ワールド・リバティ・ファイナンシャル(World Liberty Financial)」を提訴しました。サン氏は、同社が自身の保有するトークンを不正に凍結したと主張しています。提訴はカリフォルニア州の連邦裁判所で行われました。
サン氏の主張によると、ワールド・リバティは、自身のトークンが2025年9月に取引可能になった後、秘密裏に販売を阻止するツールを導入しました。さらに、サン氏のデジタルウォレット内にあるトークンを「バーン」(永久削除)する脅迫も行われたと訴えています。サン氏は、この件に関して、自身が「ワールド・リバティの主要な投資家(anchor investor)」であると述べています。
サン氏は、当初4,500万ドル相当のWLFIトークン(約30億枚)を購入し、後にアドバイザーに指名されたことでさらに10億枚のトークンを獲得しました。彼の保有するWLFIトークン40億枚の価値は、ロイターの計算に基づくと約3億2,000万ドルに上ります。一方、ワールド・リバティ側は、サン氏が「アドバイザーではない」「運営上の役割を果たすことはない」としてコメントを拒否しています。
この訴訟は、サン氏とワールド・リバティの関係が劇的に悪化した結果です。サン氏は、同社が自身のトークン保有を凍結したと主張し、さらに今月には、トークンに使用されるブロックチェーン契約に「バックドアによるブラックリスト機能」を秘密裏に埋め込んだと主張しました。これにより、ワールド・リバティが理由なくトークン保有者の財産権を「凍結、制限、実質的に没収」する「一方的な権力」を持ったと訴えています。
ワールド・リバティは、WLFIトークン売上収益の75%がトランプ家に流れるという構造を持ち、透明性の欠如や中央集権的なガバナンス構造に対する投資家からの批判が高まっています。サン氏は、同社が2025年4月から7月にかけて追加の資金投資を繰り返し求めたことや、自身が早期投資家であるために投票権が制限される可能性のある新しいガバナンス提案に強く反対していることも背景にあります。
背景
仮想通貨市場におけるトークン(デジタル資産)の所有権と流動性は常に大きな論点です。特に、企業がトークンを凍結する行為は、投資家にとって深刻な権利侵害と見なされます。本件は、政治的影響力を持つ人物(トランプ家)が関わる仮想通貨プロジェクトのガバナンスと透明性の問題を浮き彫りにしています。
重要用語解説
- トークン: ブロックチェーン技術上で発行されるデジタル資産のこと。株式とは異なり、所有権や配当権が限定的である場合が多い。
- 凍結(フリーズ): 仮想通貨の取引や売却が、何らかの理由(管理者による判断など)によって一時的または永久に停止されること。所有権が制限される。
- バックドア: システムやソフトウェアに、外部からアクセスできないように隠された裏口のこと。不正な操作や制限を可能にする危険な機能とされる。
今後の影響
本件は、政治家や著名人が関わる仮想通貨プロジェクトのガバナンスモデルに対する信頼性を大きく揺るがします。投資家は、トークン所有権の法的保護や透明性の確保を強く求めるようになり、業界全体で規制強化やガバナンス改善の動きが加速すると予想されます。サン氏の訴訟結果は、今後の仮想通貨市場の法的な指針となる可能性があります。