米司法省、連邦死刑執行手段を拡大:銃殺・ガス窒息・電気椅子を導入
アメリカの司法省は24日、連邦刑務所における死刑執行手段の拡大を指示した。従来の薬物注射(ペントバルビタール)に加え、銃殺、ガスによる窒息、電気椅子を導入することが決定された。同省は公表文書で、この手段の拡大が死刑制度を「強化」し、「最も残虐な犯罪を抑止し、被害者に正義をもたらす」と主張している。薬物注射は1993年以来の標準的な手段だが、活動家からの批判や近年における薬剤調達の困難さを受け、司法省は「特定の薬剤が入手できない場合でも、合法的な死刑を執行する準備を確実に整える」と説明した。現在、連邦当局による死刑執行は、ジョー・バイデン前大統領の在任中にほぼ停止されていたが、ドナルド・トランプ前大統領は昨年の2期目就任初日に死刑執行の再開を指示し、長年死刑を支持してきた経緯がある。トランプ氏は、適用が必要な重大犯罪すべてで死刑を求めるよう命じる大統領令に署名した。これに対し、野党の民主党上院議員からは「残酷で、不道徳で、差別的」として批判が上がっている。なお、州レベルではすでに代替手段の導入が進んでおり、5州が銃殺を死刑の手段として採用しているほか、アラバマ州は2024年に窒素ガスを用いた死刑執行を行った最初の州となった。
背景
アメリカの死刑制度は、政治的な思惑や薬剤の供給状況によって執行が停止・再開を繰り返してきた歴史がある。バイデン政権下では執行がほぼ停止していたが、トランプ前大統領の再就任により、死刑執行の再開が強く求められてきた経緯がある。今回の手段拡大は、執行の継続性を確保するための措置と見られる。
重要用語解説
- ペントバルビタール: 致死量の薬物注射による死刑執行に用いられる薬剤。1993年以来、連邦当局の標準的な手段として使用されてきた。
- 恩赦: 政府が、刑罰を確定した個人に対して、刑罰の一部または全部を免除すること。バイデン前大統領は死刑囚37人に恩赦を与えた。
- 連邦当局: アメリカ合衆国政府(司法省など)が管轄する法執行機関。連邦レベルでの死刑執行を指す。
今後の影響
本措置は、死刑制度の再活性化を象徴するものであり、犯罪抑止効果を主張する一方、人権団体からは「残虐性」や「人道性に反する」として強い批判が予想される。今後の法廷闘争や、州レベルでの代替手段導入の動きが注目される。