米司法省、コーミー元FBI長官を再起訴:貝殻の投稿がトランプ氏の命を脅かしたとして
米司法省は28日、ジェイムズ・コーミー元FBI長官を再び起訴しました。今回の罪状は、コーミー氏が昨年5月にインスタグラムに投稿した、砂浜の貝殻の写真が、ドナルド・トランプ大統領の命を脅かしたというものです。この対立は、トランプ氏が2017年5月にコーミー氏をFBI長官の職から解任して以来、継続しています。
起訴されたのは、貝殻に「86 47」という数字が形作られた写真です。ウェブスター辞典によると、「86」は「捨てる」「拒絶する」といった意味を持つ俗語ですが、最近では「殺す」という意味で使われることもあります。トランプ氏や当局者らは、この投稿がトランプ氏に対する脅迫だと主張しています。
コーミー氏は、投稿の数字の意味を知らなかったと主張し、起訴に対し「私は今も無実で、連邦司法制度の独立を信じている」と反論しています。一方、起訴を発表したFBIのカシュ・パテル長官は、コーミー氏が「トランプ大統領の命を脅かす内容を助長し、それを世界に向けてインスタグラムに投稿した」と強く非難しました。
訴訟資料によると、コーミー氏は「大統領に対する脅迫」と「州をまたぐ商業媒体での脅迫伝達」の罪に問われており、それぞれの罪の量刑は最長10年の禁錮刑が科される可能性があります。起訴は、貝殻が見つかったとされるノースカロライナ州東部地区で提起されました。
法律専門家からは、今回の起訴の根拠が乏しいとの指摘が相次いでいます。憲法専門家のマイケル・ガーハート教授は、起訴の根拠は「とても弱い」とし、ソーシャルメディア投稿は憲法修正第1条の表現の自由に当たる可能性が高いと指摘しました。また、ジミー・グルレ元連邦検事も、今回の起訴は「アメリカの刑事司法制度にとっての恥」であり、大統領が政敵を威圧するための露骨な動きだと批判しています。コーミー氏の過去の起訴(2020年の虚偽証言罪)は、すでに無効化された経緯があります。
背景
本件は、トランプ前大統領と元FBI長官コーミー氏という、長年にわたる政治的対立が背景にあります。コーミー氏は2017年に解任され、以来、トランプ氏から繰り返し起訴の要求を受けてきました。今回の起訴は、コーミー氏の個人的なSNS投稿を、大統領に対する脅迫行為として司法省が利用したものです。
重要用語解説
- FBI: アメリカ連邦捜査局(Federal Bureau of Investigation)の略称。連邦政府の犯罪捜査を担当する主要な機関であり、今回の起訴の主体となった組織です。
- 大陪審: 刑事裁判において、被告人の有罪・無罪を判断する役割を担う市民の集団。司法省が起訴状を提出する際に、大陪審の承認が必要となる場合があります。
- 憲法修正第1条: アメリカ合衆国憲法が保障する権利の一つで、「表現の自由」を定めています。今回の事件では、コーミー氏のSNS投稿がこの権利の範囲内かどうかが争点となっています。
今後の影響
今回の再起訴は、政治的対立が司法プロセスに深く介入しているという批判を強め、司法の独立性に対する懸念を高めています。専門家からは根拠の弱さや、政敵排除のための「威圧的な動き」であるとの指摘が出ており、今後の裁判の進展と、司法省の行動の透明性が注目されます。これは、今後の米国の政治的風潮に影響を与える可能性があります。