英国人夫妻がイランでスパイ容疑で収監、控訴棄却を受け刑務所でのハンガーストライキを継続
オートバイでの世界一周旅行中にイランで逮捕されたイギリス人夫妻、リンジー・フォアマンさんとクレイグ・フォアマンさんが、スパイ容疑で起訴され、現在もイランの刑務所に収監されています。夫妻は、昨年1月、オートバイ旅行でイランを通過中に逮捕されました。同年2月にはスパイ行為の罪状で禁錮10年の刑が言い渡され、夫妻はこれを断固として否定しています。現在、テヘランのエヴィン刑務所に収監されています。
家族によると、夫妻の控訴は棄却されましたが、その理由は何ら示されていません。弁護団は「クレイグとリンジーは無実の観光客であり、恣意的に拘束され、基本的人権が深刻に侵害されている」と主張しています。息子ジョー・ベネットさんによれば、夫妻は控訴審への出席を認められず、判読不能なペルシャ語の書類への署名を求められ、これを拒否したとのことです。
この状況を受け、夫妻は抗議の手段として刑務所内でハンガーストライキを続けています。クレイグさんは25日間、リンジーさんは16日目に入り、衰弱している状態です。家族は、外部との連絡が禁止された後、この抗議行動を開始したと語っています。
英国外務省は、夫妻の収監を「不当で許しがたい」としており、控訴棄却にも「失望」を表明し、安全な帰国に向け努力を続けています。また、イギリスはイランへの渡航について、拘束されるリスクが高いと警告しています。一方、過去にイランで拘束された別の英国人(ナザニン・ザガリ=ラトクリフさん)の夫は、今回の控訴棄却はイラン当局が英国政府に何らかの「シグナル」を送っている可能性を指摘しています。家族は、両親の健康を案じつつも、彼らが抵抗手段としてハンガーストライキを続ける現状に心を痛めています。
背景
この事件は、外国人が他国の司法制度によって不当に拘束されるという、国際的な人権問題の側面を持っています。イランの司法制度は、しばしば政治的な動機や国際的な圧力の影響を受けやすいと指摘されており、今回の拘束もその文脈で捉えられています。
重要用語解説
- スパイ容疑: 国家の機密情報や安全を脅かす行為を行ったとしてかけられる容疑。本件では、観光客という立場から、イラン当局によって政治的な理由で適用された可能性が指摘されています。
- 控訴棄却: 裁判の下級審での判決に対し、より上位の裁判所(控訴審)に再審を求める手続き(控訴)が、法的な理由や手続き上の問題から認められず、元の判決が確定したことを意味します。
- ハンガーストライキ: 食事を拒否することで、自身の要求や不満を外部に訴える抗議行動。生命の危険を伴うため、人権侵害の深刻な事例として注目されます。
今後の影響
本件は、英国国民の安全確保という外交問題に直結しており、英国政府は引き続き人権的な観点から釈放を求める圧力をかけ続けるでしょう。また、国際社会におけるイランの司法の透明性や人権状況に対する批判が高まる可能性があります。今後の展開は、外交ルートを通じた交渉が焦点となります。