アップル、Siri AIを大幅刷新し発表:クックCEO退任前の大型戦略的一手
米Appleは6月9日(現地時間)、年次開発者会議「WWDC」において、デジタル支援機能「Siri(シリ)AI」の大幅な刷新を発表した。これは、同社がこれまでテクノロジー大手や新興企業とのAI競争の遅れを懸念していたことへの対応策である。
新しいSiri AIは、単なる音声アシスタントに留まらず、Apple製品やアプリと深く連携し、ユーザーの過去のやり取りや画像理解、幅広い一般知識を活用する高性能な対話型アシスタントとして機能する。専用アプリとして提供され、メッセージ内の住所など、正式に保存されていない情報も検索可能となる。
この刷新は、OpenAIの「ChatGPT」やGoogleの「Gemini」といった競合他社が推進するエージェント型AIに対抗するための重要な取り組みである。ソフトウェア部門責任者のクレイグ・フェデリギ氏は、「ユーザーとそのニーズを中心に据えた真に役立つAI」であることを強調し、プライバシーを念頭に置いた設計であることを訴えた。
一方、Appleは信頼性と安全性機能の強化も発表した。iOS 27に伴い、保護者が子どもが誰と会話できるかを管理する「アスク」機能を拡充し、知らない人との会話には承認が必要となるほか、性的・暴力的な内容を含む画像が子どもの端末に送られた場合、自動的に検閲を行う仕組みを導入する。
なお、Siri AIのベータ版は今年後半に英語設定対応端末で利用可能になる予定だが、EU域内では規制問題のため提供されない。また、このWWDCは、15年間Appleを率いたティム・クックCEOにとって最後の登壇となり、後任のジョン・ターナス氏がその場にいた。
背景
本ニュースは、AI技術が急速に進展し、OpenAIやGoogleなどの競合他社が「エージェント型AI」を市場に投入する中で発生した。Appleは長らくSiriの機能強化が求められており、今回のWWDCでの発表は、その遅れを取り戻すための戦略的な大型アップデートである。
重要用語解説
- Siri AI: Appleのデジタルアシスタント機能の最新版。単なる音声操作を超え、アプリ連携や画像理解など高度な対話能力を持つことを目指している。