Axiom SpaceとプラダがNASAの月面ミッション用次世代宇宙服の「液体冷却換気服」を発表
Axiom Spaceは、イタリアの高級ファッションブランドプラダと共同で開発した、NASAの月面着陸ミッション「アルテミスIV」で使用されるインナーレイヤー「Liquid Cooling and Ventilation Garment(LCVG:液体冷却換気服)」を2026年6月7日に発表しました。このLCVGは、次世代宇宙服「AxEMU」の下に着用され、過酷な月面環境での宇宙飛行士の生命維持と快適性向上を目的としています。
アルテミスIVはNASAが予定する月周回有人拠点ゲートウェイでの最初のミッションであり、月面着陸探査を行うため、従来の宇宙服からの大幅な進化が必要です。AxEMU自体も耐寒性能が向上し、永久影地域での最低気温に2時間対応するなど、史上初の女性による月面着陸を目指す幅広い体格に対応する設計となっています。
LCVGの機能は多岐にわたります。まず、宇宙遊泳中に発生する大量の代謝熱を吸収するため、体の主要な筋肉部分沿いに配置されたチューブを通し冷水を循環させます。この熱は宇宙服の携帯型生命維持装置を経由して宇宙空間へ放出されます。さらに、換気機能も備えており、独立したループが新鮮な酸素を顔に送り込み、呼気中の二酸化炭素を継続的に洗い流します。これにより、最大8時間に及ぶ宇宙遊泳でも冷却性と通気性を保ちます。
特筆すべきは、LCVGがメインシステム故障時にも作動するバックアップシステムを備えている点です。プラダの長年培われた高性能素材に関する知識と、Axiom Spaceの航空宇宙工学的な専門知識が融合した結果であり、ジョナサン・サーテイン氏(Axiom Space CEO)は、この異業種連携こそが次世代有人宇宙飛行を定義すると強調しました。プラダ側のロレンツォ・ベルテッリ氏も、人類の月面帰還に向けたこのコラボレーションの継続的な意義を語っています。
背景
アルテミス計画は、NASAが人類を再び月に送り込み、持続可能な月面滞在を目指す大規模な国際プロジェクトです。従来の宇宙服は長期間の有人探査には限界があり、特に生命維持と熱管理が課題でした。本ニュースは、この課題を解決するため、民間企業(Axiom Space)と高級ファッションブランド(プラダ)が連携して開発した革新的な装備の発表に関するものです。
重要用語解説
- 液体冷却換気服 (LCVG): 宇宙飛行士の体温管理と呼吸補助を行うインナーレイヤー。冷水循環による熱吸収と、新鮮な酸素供給・二酸化炭素除去を同時に行う高度な生命維持装置です。
- AxEMU: 次世代の月面探査ミッション向けに開発された高性能宇宙服。従来のモデルより耐寒性や幅広い体格への対応力が大幅に向上しています。
- アルテミスIV: NASAが予定する、月周回有人拠点ゲートウェイでの最初のミッションであり、月面着陸と探査を行うことが計画されています。
今後の影響
LCVGのような高度な生命維持システムは、長期かつ過酷な宇宙環境における人間の活動範囲を劇的に広げます。これは単なる装備の進化に留まらず、将来的な火星などの惑星間ミッションや、月面での恒久的な居住施設の実現に向けた技術的基盤を築くものと期待されます。