カナダ政府、16歳未満のSNS利用禁止とAIチャットボット安全基準を定める法案を提出
現地時間2026年6月10日、マーク・ミラー氏(アイデンティティ・文化大臣兼公用語担当大臣)が、「安全なソーシャルメディア法案」(Bill C-34)をカナダ政府より提出しました。本法案は、ソーシャルメディアやAIチャットボットによって生じるオンライン上の被害に対し、プラットフォーム側に責任を負わせることを目的としています。
主な規制内容として、16歳未満の子どもがソーシャルメディアサービスにアカウントを持つことが原則禁止されます。ただし、子ども向けの十分な安全対策を講じていると証明できれば例外申請も可能です。法案は、プラットフォームの設計段階から子どもの安全を最優先することを義務付けます。
具体的な責務として、「児童保護義務」がすべての規制サービスに適用され、ライブストリーミングや成人向けコンテンツを含むサービスには「責任ある行動義務」と「特定コンテンツへのアクセス遮断義務」が付加されます。後者では、性的被害に関するコンテンツやディープフェイクなど、同意のない親密なコンテンツの迅速な削除が求められます。
AIチャットボットも規制対象となり、「有害なコンテンツを送信するリスク軽減」「危機的状況における報告基準の透明性確保」、および「有害な行動をとるリスクの軽減」が義務付けられます。さらに、法案には独立したデジタル安全委員会の設立や法令遵守の確保といった仕組みも盛り込まれています。
これに対し、マイケル・ガイスト氏(オタワ大学研究委員長)は、「政府がすべてを詰め込んだアプローチであり、多くの詳細が将来の委員会に委ねられ、実現には何年もかかる」と批判的な見解を示しています。一方、マーク・カーニー首相やエヴァン・ソロモン大臣は、子どもたちがオンラインで安全である権利を守るための重要な一歩として法案の必要性を強調しています。
背景
近年、ソーシャルメディアやAI技術の急速な進展に伴い、未成年者による有害コンテンツへの接触、オンラインでの精神的被害、搾取などの問題が深刻化しています。これを受け、カナダ政府は、プラットフォーム側の責任を明確にし、子どもの安全を守るための法整備を進める必要に迫られました。
重要用語解説
- 児童保護義務: 本法案で規制される全サービスに適用される基本的な義務であり、未成年者を含むユーザーのオンライン上の安全確保を最優先事項とすること。
- 責任ある行動義務: プラットフォーム提供者が、有害コンテンツのリスク評価・軽減策を講じ、AI生成コンテンツへのラベル付けや報告機能を提供することを求める義務。
- ディープフェイク: AI技術を用いて作成された、実在の人物が撮影していない画像や動画のこと。特に性的被害に利用されるリスクが高いと指摘されている。
今後の影響
本法案が成立すれば、カナダ国内のSNSおよびAIサービスは設計段階から子どもの安全対策を組み込む必要が生じます。これは業界全体に大きなコストと規制対応を強いるため、プラットフォームビジネスモデルの見直しや、技術開発における倫理的配慮の強化が進むことが予想されます。