トランプ政権の18億ドル「武器化対策基金」計画、米連邦裁判所が差し止めを延長
米国において、トランプ政権が進めようとしていた18億ドルの「反武器化(anti-weaponisation)基金」に関する計画について、連邦裁判所が再び動きを制限しました。この基金は、大統領が自身や同盟者に対する捜査や刑事事件を指して用いてきた「武器化」(weaponisation)の被害に遭ったと主張する人々に対し、支払いを行うことを目的としていました。
本件に関する判決は金曜日(2026年6月13日時点の情報に基づく)に出され、トランプ政権にとってさらなる挫折となりました。この基金は、かつてトランプ氏が内国歳入庁(IRS)を相手取って起こした100億ドルの訴訟の和解によって生み出されたものです。
当初、司法省は17億7,600万ドル規模の基金を設定し、5人からなる委員会が「武器化」の被害者と見なす人々へ資金を分配する予定でした。しかし、トッド・ブランシュ検事が今月上旬に批判の高まりを受けて計画を撤回した経緯があります。この際、政府弁護士らは、本スキームに異議を唱える訴訟はもはや無関係であると主張しました。
さらに複雑な点として、基金の受益者となる可能性のある人々には、2021年1月6日の米国議事堂襲撃参加者が含まれます。トランプ氏は昨年ホワイトハウス復帰初日にこれらの暴動参加者に大量の恩赦を与えましたが、訴訟を起こした原告らは、この計画が納税者の資金を実質的な「スラッシュファンド(私的資金)」に流用するものだと主張し、懸念を表明しています。現在、政権は基金からの撤退を示唆していますが、トランプ氏自身はこのスキームのキャンセルを支持しておらず、引き続き肯定的に言及しています。
背景
本件は、トランプ前大統領が自身の訴訟を通じて司法制度や政府機関(IRSなど)の行動を「武器化」と批判したことに端を発します。この基金計画は、その被害者とされる人々への金銭的補償を目指すものであり、政治的な対立が色濃く反映されています。
重要用語解説
- weaponisation: 「武器化」とは、政府機関や法的手続きを、本来の目的を超えて個人的な敵対行為や政治的報復に利用することを指します。トランプ氏はこの言葉を用いて自身の訴訟対象を批判しました。
- slush fund: (スラッシュファンド)特定の目的に限定されず、自由に使える資金源のことです。ここでは、公的な税金が本来の目的外に使われる私的な資金プールというニュアンスで使われています。
- preliminary injunction: 仮処分命令。裁判所が本案判決を出す前に、一時的かつ緊急に特定の行為(この場合は基金の運用)を差し止めるよう命じる法的手続きです。
今後の影響
この基金計画は、政権運営における司法への介入度合いを示す象徴的な事例であり、その継続的な阻止はトランプ氏陣営にとって大きな政治的敗北となります。今後の展開としては、訴訟を通じて政府の行動に対する批判が続く可能性が高く、米国の法制度と政治的分断がさらに深まることが予想されます。