スマートウォッチの消費カロリー測定は過大評価傾向:研究が指摘、Appleが最も正確
最新のスマートウォッチは、運動中の消費カロリーを推定する機能を搭載していますが、ある研究によって、これらの数値が全体的に過大評価していることが判明しました。本研究は、フロリダ国際大学の研究者らによって実施され、被験者58名を対象にサイクリングを行う中で、スマートウォッチの推定値と、呼吸による二酸化炭素排出量などを測定する高精度な「COSMED K5 ポータブル代謝分析装置」の測定結果を比較しました。スマートウォッチは、光センサーによる脈拍測定、腕の動きを捉える加速度センサー、独自のアルゴリズムを組み合わせて消費カロリーを推測していますが、これらの推測には複数の誤差要因が存在します。具体的には、光センサーが装着者の皮膚の色や厚さによって弱くなる点や、アルゴリズムの限界が指摘されています。比較の結果、全てのスマートウォッチがCOSMED K5の測定値から外れた数値を示すことが確認されました。デバイス別に見ると、Apple Watch Series 8が最もCOSMED K5の結果に近く、「過大評価が著しく少ない」と評価されました。一方、Fitbit Sense 2は数値上は近いケースもありますが、計測失敗や異常値(外れ値)を除外した結果であり、外れ値を含めるとどのデバイスよりも過大評価する傾向が強いことが判明しました。また、Samsung Galaxy Watch 5とGarmin Forerunner 955も、外れ値を含めると消費カロリーを大幅に過大評価する傾向が確認されました。さらに、研究者らは、体脂肪率が高い被験者ほど誤差が大きくなる傾向があることも指摘しています。この結果は、スマートウォッチの消費カロリーの数値を絶対的な正確な数値として扱うことは危険であり、過信すると食事管理においてカロリー過多を引き起こす可能性があるため、注意が必要であると警鐘を鳴らしています。
背景
近年、スマートウォッチは健康管理ツールとして普及し、運動中の消費カロリーや心拍数などを計測する機能が搭載されています。ユーザーはこれらのデータに基づいて体重管理や運動計画を立てることが一般的ですが、その計測の科学的根拠や精度については、常に疑問が呈されてきました。
重要用語解説
- 消費カロリー: 運動や生命活動によって消費されるエネルギー量(kcal)。スマートウォッチは、心拍数や動きからこれを推定しますが、実際の代謝プロセスはより複雑です。
- COSMED K5 ポータブル代謝分析装置: 呼吸によって排出される二酸化炭素量などから、体内のエネルギー消費量を高精度に測定できる専門的な代謝分析機器。
- 加速度センサー: デバイスの動きや加速度の変化を検知するセンサー。スマートウォッチでは、腕の動きや運動のパターンを読み取り、消費カロリー推定に利用されます。
今後の影響
本研究は、フィットネスデバイスの利用者に「データ過信」のリスクを警告しました。今後は、スマートウォッチの消費カロリー表示をあくまで「目安」として捉え、食事や生活習慣全体から総合的にカロリー管理を行う意識の変革が求められます。デバイスメーカー側も、より科学的根拠に基づいた誤差の補正や、測定の限界に関する明確な情報開示が課題となります。